お薬を探そう

「あー、なんとかしなければいけないな」

私は、そう考えていた。

昨日は、悪夢のような診察だった。最初のクダを外したとき、おしっこが出なくても、まあ仕方ないかもしれなかった。が、昨日のクダ外しは、2回目のクダ外しなのだ。2回目なのだから、そろそろ、おしっこは、まともに出てほしかった。

なのに、一番はじめの赤いおしっこのような、鼻血のようなのが、ほんの少ししか出ていないのだ。

「これは、なんとかしなければ」

いちおう、昨日の病院の帰りには、新たなユリーフを2週間分もらってきてはいた。前回のユリーフ2週間分は、昨夜の食後に飲んでしまったのが最後だ。今日からは、新たなユリーフ2週間分を飲み始めるのだ。

いや、早速、今朝の朝食の後に、1個目を飲んでいたのだ。

「もし、次、出なかったらどうしよう・・」

私は、次の診察日、2週間後のクダを外したときの結果が恐かった。もちろん、そのときに、普通におしっこが出れば、何の問題も無いことなのだが、どうしても出ない想像しか出来なかった。

今朝のおしっこ、トイレに行ったときにも、何かビクンビクンと引っ張られるような感覚があって、今までならば、これはおしっこが出るように治ってきている証拠だと楽観的に考えられたのだが、今は、そんな風には思えなかった。

「また出ない気がするな」

私は、いろいろ考えた結果、もしかしたらユリーフ以外に、もっとおしっこが出るようになる、もっと強い薬があるのではないかと思った。

「ネットで探せば、多少怪しそうなおしっこが出ない人のための薬が、何かあるかもしれない」

そう思って、パソコンを立ち上げると、ネットで「おしっこが出る薬」と検索してみた。すると、おしっこが出ない、出にくい人のための薬がいろいろと出てきた。それらのページを、あっちこっちいろいろ読み散らしていた。そして、

おしっこが出にくいことを「頻尿」ということを知った。

なるほど、おしっこが出にくいことは、専門用語で頻尿というのか。早速、今度はネットに「頻尿」と入力して、検索してみた。

すると、出るわ。出るわ。

頻尿に良いという薬が、大量に表示された。こんなにあるのならば、ユリーフでなくても、多少リスキーでも、もっと効き目が強くて、おしっこに効く薬があるのではないかと思った。

「多少リスキーでも、今大事なのは、おしっこが出ること」

そう思った私は、ネットで探せば、きっとお医者さんからは多少リスクがあるので絶対に奨められないが、おしっこの効きだけははるかに優れているという薬が入手できるのではないかと思った。

そのときの私は、まず、おしっこが出るようにしたいということが先行していて、お医者さんが多少リスクあるからと奨めない薬でも、おしっこが出るようになるのならば、別に構わないと思っていた。

そして、頻尿に効くという薬を、あっちこっちずっとネットで検索してまわっていた。これだったら良いかな、とも思える薬も、検索した中にはあったのだが、それもよく詳細を読んでいくと、どうも自分の身体の状況にはあっていないような気がしてしまっていた。

頻尿とは、おしっこが出にくいことなのだ。つまり、おしっこは出にくいだけのことで、多少出にくくても、あくまで、おしっこはちゃんと出ているのだ。それを出やすくするのが、頻尿の薬だった。

「私の場合、出にくいのではないものな。全く出ないのだ」

多少でも、おしっこが出る人のための薬では、全くおしっこが出ない私のような人には、どうも向いていないのだ。

「だから、出にくいんじゃない。出ないんだ」

頻尿の薬の説明のところに書いてある、あなたの出にくいおしっこが見違えるように出やすくなりますという文章に、ひとり言の文句を唱えてしまっていた。

「だから、出にくいんじゃないの」

別の頻尿の薬の説明文にも、見違えるように出やすくなりますと書いてあった文章に対して、またまた文句を言ってしまっていた。

それぐらい、どの頻尿の薬も皆、出にくいおしっこが出やすくなるということばかりを強調しているのだった。

「おしっこ出ないの!」

何個目かの頻尿の薬の説明文を読んだ後に、私の頭に思い浮かんだ言葉を、そのままパソコンの検索画面に打ち込んでやった。

すると、Googleくんったら、まるで私の「おしっこ出ないの」に答えるように、おしっこが出ないということを書いているページをいろいろ検索結果に表示してくれた。

「へえ、あなたも、おしっこ出ないんだ」

それらのページを順番に読んでいきながら、つぶやいていた。自分と同じように、おしっこが出ないことを悩んでいる人がこんなにいるんだという親近感だろうか。

そして、おしっこが出ないことが書かれているページをいくつも読んでいるうちに、おしっこが出にくいことは「頻尿」、おしっこが全く出なくなることを「尿閉」ということを知った。

「そうか!私は尿閉なのだ!」

そのことを知って、思わず叫んでしまっていた。

今までずっと、頻尿の薬ばかり眺めていて、そこの説明文に書かれている出にくいおしっこが、見違えるように出やすくなるの言葉に、文句ばかり言っていたが、それはそうだ。頻尿の薬ばかりを検索していたのだから、出にくいおしっこが、出やすくなる案内ばかりしか出てこなかったのだ。しごく当然のことだ。

「尿閉で探さなければいけなかったんだ」

出で来ないはずだよな。私は、それに気づいて「頻尿」ではなく「尿閉」で検索し直した。

すると、今度は、尿閉に関することがいろいろ検索結果に表示されるようになった。

「あるじゃん。あるじゃん」

これで見つかると思った私は、順番に検索結果に表示された尿閉のページを開いて、読んでいった。おかげで、尿閉というものについての知識は、かなり深まった。しかし、尿閉に良いという薬は、良いものがひとつも見つからなかった。

そもそも尿閉に効くという薬が無さそうなのだ。いや、あるのだろうけど、私の「尿閉」での検索結果にはうまく出て来なかっただけなのかもしれない。尿閉になりました。では、どうしたら良いのかというところまで読み進んでいくと、どのページも皆、お医者さんに相談しましょうで終わっているものばかりだったのだ。

「それじゃダメなの。薬が欲しいんだ」

私は、尿閉での検索結果をかなり奥のページまで全部読みあさった。おかげで、尿閉に対する知識だけは、どんどん深まっていくのだが、肝心の尿閉に効くという薬がぜんぜん出て来ないのだ。

「これはダメだな。何か別の検索の仕方にしないと、尿閉の薬は、ぜったいに見つからないだろうな」

しかし、散々、尿閉で検索して回った後なので、もう何のワードで検索したらよいのか、ぜんぜん頭に浮かんでこなかった。

「一回、頭を切り換えて、仕切り直ししないとだめだな」

私は、その日のお薬探しを諦めて、尿閉に効くお薬探しは、また後日にすることにした。

お薬発見!につづく


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