前立腺は小さくなっているはず

次の日の朝、目が覚めた。

「ごはんです」

朝ごはんを食べ終わって、朝のユリーフのお薬を1錠飲んだ。そして、また意味のないことは、わかっているのだが、おしっこがしたくなり、トイレに向かった。

「昨日は、勝手な妄想をしてしまったな」

昨日は、もう次の診察日まであと1週間を切っているということで、焦りからか、全く医学的根拠も無い、おしっこが治ってきているという勝手な妄想をしてしまった。

きょうは週末、日曜日だ。

きょうも会社はないし、おしっこが出れるようになるための訓練に、とことん付き合ってあげられる時間はいっぱいあるのだ。そう思って、また朝からトイレに駆け込み、座っていたのだった。

しかし、相変わらず、おしっこは、身体の中を通っているクダを通じて、勝手に、おしっこ袋のなかにへと流れていっている。いったい、どのようになると、おしっこが自力でも出れるようになる兆候なのかも、自分ではさっぱりよくわからなかった。

「あれ、なんだかクダが外れそうな動きをしている・・わけがあるわけないじゃん」

私は、今日は、さすがに昨日のような医学的根拠も何もない変な妄想に走ることはなかった。

「さあ、いつまでもトイレに座っていても仕方がない。トイレから出て、パソコンでブログでも書こうか」

私は、トイレを出て、パソコンの置いてあるデスクに移動し、パソコンを起動して、自分のブログの更新をはじめた。

「あれ、なんだろう?」

私は、ブログの更新をしていると、なんか変な違和感を感じた。

「なんか、おしっこが漏れていないか」

私は、おしっこがクダを通じて、おしっこ袋の中に流れるのではなく、クダの脇を伝って、クダの外側から少し漏れている気がしたのだった。急いで確認してみると、確かにクダの内側ではなく、外側におしっこが出ていたのだ。

「また、自分の思い込みじゃないだろうな?」

私は、また昨日の私のようなクダが身体の中から外れてきているという勝手な思い込みじゃないかと疑った。

自分の尿道の出口のところを、自分の指で触診して確かめてみる。確かに、私の尿道の出口のところは、わずかではあるが濡れていたのだ。念には念を入れて、下着の内側も指で触ってみる。下着にも、おしっこが袋でなく漏れた時のものに違いない、濡れている個所を発見した。これは、もう間違いなく、おしっこ袋でなく、身体の外にちゃんと、おしっこが出たのだろう。

「治ってきたんだ!!」

私は、おしっこの漏れを発見して、興奮していた。

「これは間違いない!ようやく、毎日飲んでいたユリーフの効果が現れだしたんだ!!」

そう思って、改めて自分の尿道の出口のところを眺めてみる。そうすると、尿道の出口のところに、わずかではあるが漏れたおしっこの液体が出ているのを発見した。そのおしっこの辺りの尿道出口を確認すると、尿道の中央部分をクダが通っているのだが、そのクダと尿道の壁面との間に、わずかではあるが、隙間があることに気づいた。それまでは、クダは、尿道にぴったしくっついて中に通っていた。それが、今は尿道とクダの間に、少し隙間が空いているのだ。

「これは、きっとこの隙間から、おしっこは漏れて、出てきたのだろうな」

私は、思った。

おそらく、毎日ユリーフを飲んでいたおかげで、前立腺で塞がれていた尿道が、少しずつ開いてきて、それでクダとの間に、隙間が出来たのだろう。私は、そう勝手に理解していた。

「これは、病院に行って、先生に診てもらったほうが良いだろう」

今日は日曜日だ。病院に行っても、先生もお休みだろうから、明日の朝にでも、病院に行ってみるか。

たぶん、明日、病院に行って、先生に診せたら、先生も、

「確かにクダとの間に隙間が出来てきていますね。これは、クダを外しても、おしっこは、ちゃんと出るかもしれませんね」

と言ってくれるに違いない。そうして、クダを外してくれて、おしっこがちゃんと出ましたね。これで回復ですと言われるんだろうなと思っていた。そんなことを想像しているうちに、眠くなってきてしまい、昼寝をしてしまった。

そして、昼寝から目が覚めると、すっかり隙間のことは忘れてしまって、夜ごはんとユリーフの薬を1錠飲んだ。

夜、寝る前になって、そういえば隙間が出来たんだったと、明日の朝、病院に診せに行く前に、もう一回確認してみようと、尿道の出口のところをもう一度確認した。

そのときには、朝漏れていた尿道出口付近のおしっこも、すっかり乾いてしまっていて、これは、ぜったいに尿道とクダの間に隙間が出来て、尿道が広くなっていると思っていた隙間も、特に広く感じられず、尿道の壁面は、ぴったしクダとくっついてしまっていた。

「これじゃ、先生に診せても、隙間が出来て、広くなったなんて思ってもらえないだろうな」

と思うしかなくなっていた。これだったら、明日の朝わざわざ行かなくても、本来の診察日である今週の木曜日でもいいかと思うしかないのであった。

この週末は、なぜ、こんな医学的根拠も全くないわけのわからない妄想をしてしまったのだろう。

たぶん、前立腺が小さくなってくれて、ちゃんと尿道の通路が前立腺に塞がれないようにならないと、おしっこが永遠に自力で出せるようにならない。そのために、ユリーフのお薬を飲んでいる。毎朝、毎晩、ユリーフを飲まなければ治らないと思うからこそ、ちゃんと飲み続けているというのに、それを飲み続けている効果が、なんでも良いから何か少しでも目に見えてわかれば良いのに、その効果の程が一切よくわからないから、それが焦りにつながって、治っている気になれる変な妄想をしてしまうのだろう。

はじめての診察日につづく


前立腺は小さくなっているはず
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